TOWER CHESS

 

 ゲームマーケットで「TOWER CHESS」なるものを買った。

 基本はチェスなんだけど、盤面が6x6でナイトが無い。駒の動きはチェスと同じ。キャプチャの時だけ違って、相手の駒を盤面から取り除くのではなくて自分の駒を相手の駒に重ねる。重なった駒は一番上の駒だけを動かすことができて、動かすとその下の駒が復活する。それだけ。

 一見すると駒が減らないだけでチェスや将棋に近い感覚になるのかなと思うけれど遊んでみるとかなり違う。駒の取り合いが始まる中盤から変わってくる感覚はあるけど、慣れるとそれを見越して序盤の戦術から全然違うものになってくる。

 具体的にはチェックされた時。逃げたり合駒するのではなくチェックしてきた駒を取るという防ぎ方がある。けれどそうした後にキングを動かさずにいると、取った駒を動かした瞬間に下の駒が復活してキングが取られてしまう。

 このように相手の駒の動きを制限するためにあえて取らせるという戦術が成立する。イリーガルムーブについての裁定はルールブックに無かったけどどうしたらいいんだろう。

 本家のチェスと同じく一度触れた駒は必ず動かさなきゃいけなくて、TOWER CHESSの場合それがかなりいい味を出してくる。動かさない駒に触れられないということは下の駒を覚えておかなければいけなくて、うっかり動かして要の駒を取られたりする。

 こういうことがあるのでイリーガルムーブというか、自殺は負けでいいのかもしれないと思った。

 遊んでみた感覚は当然ながら本家のチェスよりもずっと終盤まで盤面が賑やかで、何をしたらいいのかとても難しくて楽しい。

 最初の写真は試しにひとりで遊んでみた時のものだけど、threefold repetitionになった(黒キングの下はポーンで、ここからQe3(現局面)Kf5, Qf3 Ke5を繰り返した)。白になんかありそうな気はするけど思いつかなかった。どうなんだこれは。

 安易にキャプチャするとその駒を再度動かした時に下の駒が復活するというリスクがかなり大きくて、キャプチャという手そのものの価値がチェスや将棋とかなり違うなと思った。

 あとは、盤面が狭い関係でアンパッサンやキャスリングは無いけどプロモーションはオプションルールとしてある。ナイトが無いのでプロモーション先はクイーン一択になる。確かに普通のチェスでやると少し難しすぎるかもなという気もする。

 初手のポーンはチェスと同じく2マス動けるのでいきなり相手のポーンの前まで進めるのでいきなり取られる危険性があるけど、キャプチャの意味が違うのでそれはそれで戦術として成立している。

 このように他の将棋類とはかなり遊び味が違うので、これはちょっといろんな人に遊んでみてほしいと思った。

 コンポーネントは簡易版と豪華版があったけど、これは豪華な方を買ってもよかったかなぁ。