東京ディズニーシーに行った

 東京に引っ越してきたばかりのころ、ディズニーランド/シーに行ったことが無いと言ったら驚かれた。じゃあ今度いっしょに行こうという話になり、何故だったか忘れたけどその時は結局行かなかった。ボス(あだ名)と私はやると言ったらやる方なのでこれはちょっと珍しい。

 それで結局、10年以上経ってからその友人を含む5人でディズニーシーに行った。ボスとは一時期住む場所が離れたりして会うことがなくなったが再び会うようになっていた。そしてやると言ったらやるのである。

 私としても、テーマパークというものに興味はありながらも長らく縁が無かったので楽しみだった。そして行ってみて実際に面白かったという話。

 富士急ハイランドという案もあったが東京在住には遠いし泊まるほどの気合いも無いし、そもそも絶叫マシン苦手な人がほとんどというか、好きなのが1人だけだった。テンション下がるのも楽しくはあるだろうが、どうせなら上げていこう。いい歳してみんなで耳のカチューシャとかつけよう。

 ということで、ちょうどハロウィンが終わってクリスマスが始まる前の隙間に朝から張り切って出かけた。事前に「現地集合にすると灘さんが行方不明になるから」と風評を振りまいていたボスは遅刻した。ボスの遅刻はいつものことだし、私の行方不明は風評である。(前にいっしょに秩父に行った時に私以外は全員池袋駅に集合していたが私だけ熊谷経由で直接行ったという件がある)

 こんな話をしている時点で入場前から既にテンションがおかしい。前日までもディズニーリゾートアプリを入れてUIに対してあれこれ言ったりしている(全員IT技術者なので)。

 入場してすぐのお土産屋で全員耳やマスクや浮かれたグラサン(レンズがミッキーの形のやつ)を買う。私はウサギみたいな長いやつにしたが、これはウサギではなくミッキーの耳が伸びているらしい。おかしいだろなんだそれは。と思ったのでこれにした。長い耳は少し頭が傾くとずり落ちるため、その日は徐々に姿勢がよくなっていった。その後、位置を直したりアトラクションの度に外したりつけたりを繰り返しているうちにだんだんクシャクシャになっていったが、それはそれで味がある。浮かれたグラサンも借りて写真を撮ってもらったが、園内はマスク着用必須だったためマスクとグラサンと耳でかなり怪しいことになった。

 そこで既に結構時間を食ったが、アトラクションへ。目的地へ向かうまでの街や遠くに見える火山の作り込みが既にすごい。そのあたりは後で見るとして、まずは「トイ・ストーリー・マニア!」。90分待ちと聞くと普段なら絶対に行かないが、まあディズニーってそういうものだということで並ぶ。テンション高いのが5人いるし、景色が既に面白いし、来たばかりで予定も立ててないし。ランチのプランを練っていたらあっという間だった。アメリカンなサンドが食べたい。

 列は進んで建物の中へ。トイ・ストーリーがモチーフなので巨大なおもちゃがたくさんある。ここにある積み木やドミノをこの大きさで遊ぶだけでもかなり楽しそうだ。と言って共感してくれたのはスコットランド人だけで、日本人たちはそもそもドミノを知らなかった。積み木もテンション上がるでしょ!? あとこの、サルを引っかけるバランスのやつ、酒を飲みながらやると手が震えてどうしようもなくて「酒はよくない」って言いながらやるのが楽しいんだぜ。

 アトラクションはシューティングゲームだった。ボスが好きそうなやつ。なんかみんな上手いんだけど、ボスにはそこそこ食らいついたけどスコアは最下位。スコットランド人がだいぶ上手くてもうちょっとで本日のトップだった。なるほどこれは楽しいし、みんなが「最初はこれ」と言った意味がわかる。

 サンドイッチ食べつつ雑談。そのあたりのエリアはアメリカの鉱山都市っぽい。鉱山のトロッコ風の高架にヨーロッパ風の客車が走っている。実際に人が乗るのでヨーロッパ風のエリアにつながっているのかもしれない。道に路面電車のレールのような装飾があって、路面電車の話。路面電車って東京はもうあまり無いけどこれはどこ風? ロンドンもあまり無いよね? ニューヨークかなぁ。アメリカだしね。外国に行ったことがある人が多くて話が盛り上がる。

 次、センター・オブ・ジ・アース。あのなんか上空から「きゃーっ」って聞こえるやつ。というかその前に山! 火山! この火山が地図地形ファンとしてはかなり熱くて、この六角形の岩は柱状節理といって、地底で圧縮された岩が隆起して地上に出て風雨で侵食されてね、だからつまりこの部分までは昔は海底でこの山も海底火山で、それが隆起して、ここから上は地上に出てからできた部分でこっちの方は溶岩で……(以下略)。入口は自然の洞窟だったのかもしれないけど途中からつるはしで掘った形跡がありますよね。そしてほら! このあたりから機材が変わってる! ここからは比較的新しい時代に掘り進められたんですよ!(以下略) などとオタクトークしている間に行列の60分くらいはあっという間に過ぎた。アトラクション自体も面白かったけど、あの「きゃー」の部分は暗いところから一瞬明るくなってまた洞窟なので、黒・白・黒!という感じでよくわからなかった。楽しい。

 私が園内で撮った写真の大半はこのセンター・オブ・ジ・アースの火山の周辺と内部だった。盛り上り過ぎだろう。楽しかった。

 その後はダラダラと食べ物を探しつつ、蒸気船(アトラクション)に乗ったり。ちょうどメンテ明けで空いてたインディジョーンズのやつに駆け込んだり。空いてて待ち時間ゼロなのはいいけど、待機列で内装を見ながらああだこうだ言うのも含めてアトラクションだったのかもなあなどと思う。アトラクション自体は楽しかったのでいいんだけど。

 そしてもう1周蒸気船に乗る。「2周するなんて嫁(子・恋人)と来たらできないなぁ」という話を聞きながら、北米・中米・アラブ・ヨーロッパの建築や橋梁技術の再現度について「石橋はさすがに下から見るとファンタジー(リアリティが少ないこと)だね」「それ日本に地震が多いからじゃないの?」などと駄弁る。わからん。楽しい。メンバーにヨーロッパ人がいるので逆にいくらでもいい加減なことが言える。故郷だからといって建築技術にまで詳しいわけではない。

 今は亡きスペースワールドにあった「惑星アクア」というアトラクションが大好きで、そういうのを想像して「アクアトピア」に乗り込む。こちらはそれほど激しくなくて濡れたりもしないらしく、少し拍子抜け。でもまあ水に浮かぶことそのものが好きだし、穏やかだけど下のレールを見て経路を読む遊びをみんなしてた(IT技術者なので)。三半規管が弱いボスは酔ってた。

 最後はソアリン。最近できたという、なんか空の旅で世界中を旅行できる感じのアトラクション。行列も飽きたのでファストパスみたいなやつで割り込む。金だけはあるのだ。ここはイントロダクションがかなり凝っていて、なんとなく見たことある改変された絵画が飾られていたり、絵画が動いたり。反射的に全員プロジェクタの位置を探した。もっとみんなファンタジーに溶け込め。

 マッターホルン、なんか見たことあるドイツっぽい城、シドニーのなんか川、キリマンジャロが見えるサバンナの草の匂い、タージマハルに靴箱が無いじゃないか、東京のあのビル無いんだけど。短い時間ながらああだこうだ言って楽しんだ。が、ボスは酔って動けなくなった。絶叫マシン苦手勢もそれぞれ危い部分があったので映像とはいえそれなりに注意が必要だったが、なんやかんやで感想や思い出を語り合って盛り上がった。タージマハル、土足厳禁なのね。

 ということで、私が酒好きなので最悪お酒飲んでればいいからという理由でディズニーシーに行くことになったわけですが、実際はお酒を飲む暇も無く盛り上って駆け抜けてしまいました。いや最後の方はワイン飲んでましたけど。楽しかったし、他のディズニーリゾート経験者らの思惑通りの楽しみ方をしたと思う。街や地面の歴史を語れるくらいの作り込みはすごいですね。テーマパークってそういうことか。というのがわかってよかった。これくらいやってるテーマパークがどれだけあるのかよくわからないけど、私がよく行く博物館もある意味テーマパークだし似たところはある。

 それと、最近のゲームはマップが3Dで作られていて街がテーマパークみたいになっているなと思っていたけれど、逆にこういうテーマパークを元にしてゲームの街が作られているのかもなと思いました。特に私が最近やってるFF14の街とか、ゲーム的に意味の無いフォトスポットみたいなのがたくさんあったり、店はたくさんあるけど住居がほとんど無いというのがとてもテーマパークっぽい。そう思いながら歩くとまた楽しい。

 そんなわけで、なんとなく、何故これだけディズニーリゾートが人気なのかとか、年パス買って定期的に遊びに行く人たちの気持ちがわかったような気はしました。私も国立科学博物館友の会に入ってるしな。